最近祖母が一人で買い物に行くけど、認知症の始まりかもしれないから心配だよ。店から『これ以上来ないで』って言われたらどうしよう。
そうだね、高齢で認知症があると一人での買い物はリスクがあるから、家族や介護者と一緒に行く方が安心だよ。トラブルを避けて、みんなにとっていい解決策を見つけよう。
高齢者万引きの特徴
日本で高齢者による万引きが社会問題となっています。警察庁の統計によると、2013年の1月から11月までの期間に、万引きで摘発された65歳以上の高齢者は25,821人に上り、2012年の全年間での摘発数は28,600人を超えています。特に注目すべきは、これらの数字が若年層の摘発数を上回っている点です。
摘発された高齢者が盗む商品は、パンや惣菜といった比較的安価な食料品が多く、平均して盗んだ商品の額は2,600円程度です。警察庁は、この状況が続いている背景には、「安いものだから大丈夫だろう」とか「ばれても後で支払えば問題ない」といった軽い罪悪感があるのではないかと指摘しています。
しかし、認知症の専門家の視点からすると、65歳以上の高齢者のうち約3分の2が認知症またはその初期段階にある現状を鑑みると、高齢者による万引きの背後には認知症の影響が大きく関与していると考えられます。こうした行動が単に「罪悪感の希薄さ」に起因するのではなく、認知症による判断力の低下や衝動制御の困難さが根本的な原因であるという見解です。
高齢者に多い万引きの例
高齢者の万引き事例を紹介します。これらの行動を本当に「万引き」と呼べるのか、疑問を感じざるを得ません。
まず、ある患者さんがスーパーマーケットで体験した出来事です。パンのコーナーを通りかかった際、思わずパンを手に取り食べ始めてしまいました。この行動には悪意はなく、周囲に隠れることもなく、まるで自宅で食べるかのように堂々としていました。しかし、この行為が店員に見つかり、万引きとみなされてしまいました。
次に、コンビニエンスストアでの別のケースです。患者さんは購入意志もなく商品を手に取ったり、棚に戻したりしていました。これを不審に思った店員が声をかけたところ、患者さんは驚き、興奮してしまいました。「何もしていない!」と声を荒らげ、さらには店員に対して暴力を振るってしまい、結果的に警察を呼ばれる事態になりました。
これらの事例から、認知症を抱える高齢者の行動が、周囲の誤解や認識不足によって犯罪行為と見なされがちであることがうかがえます。彼らの行動背景には、認知機能の低下や判断力の衰えが深く関係していることを理解し、適切な対応を考える必要があります。
前頭葉機能の低下が万引きを引き起こす
万引き行為の背後には、しばしば前頭葉機能の低下が関与しています。早期の認知症では、主にこの前頭葉の機能が衰えることがあります。この状態が進行すると、側頭葉の機能も低下し、認知症の症状が顕著になります。
日本では、認知症を患う人の数が約462万人、早期認知症の人が約400万人と推計されており、これは合わせて約1000万人近くが前頭葉の機能障害を抱えていることを意味します。前頭葉は、理性や論理的な思考を担う重要な脳の部分であり、人間の尊厳を保つ上で不可欠です。この部分の機能が低下すると、日常的な判断力が衰え、「商品は購入してから使用する」といった基本的な社会規範が理解できなくなります。さらに、食品など「美味しそう」と感じた際に、その欲求を抑制することが難しくなり、店内の商品を自分のものと誤解してしまいがちです。
このような誤解から、小さな誤解が大きな誤解や騒動へと発展し、高齢者が周囲の反応に動揺し、パニック状態になり、場合によっては声を上げたり身体的に反応したりすることもあります。これらの行動は、認知機能の低下に起因するものであり、その背後にある認知症の理解と適切な支援が必要です。
知らないうちに何度も繰り返していることも
患者さんが万引きで逮捕されると、その家族はしばしば衝撃と困惑を感じます。多くの場合、初めての出来事だと考え、状況を受け入れることが難しくなります。しかし、私の介護での経験から言うと、多くの患者さんが初めて逮捕される前に、すでに何度も同様の行為を繰り返していることが多いです。
例えば、最近コンビニで逮捕されたある患者さんは、ただ商品を手に取っていたと主張していました。家族も当初はその言葉を信じがちですが、店舗側が提供する防犯カメラの映像を見ると、その患者さんが10回近く同じ行為をしていたことが確認されました。この発見には家族も大変驚き、店舗に対して深く謝罪しました。
この事例から学ぶべきは、「初めて逮捕された」という事実が必ずしも「初めての万引き」を意味するわけではないということです。家族はこの可能性を認識し、適切な対応策を講じることが重要です。
対策
高齢になり、認知症やその初期段階にある場合でも、買い物を一人で行うことは避けた方が良いでしょう。家族にとっては初めての出来事であっても、店舗側から見れば、そのような事例は度重なっている可能性があります。実際に、あるスーパーマーケットからは、「これ以上当店を利用しないでください」と通告されたケースもあります。このように、高齢者本人やその家族だけでなく、店舗側にとっても負担となる事態を避けるために、一人での買い物を控え、可能な限り家族や介護者の同伴を心がけることが望ましいです。
まとめ
日本では、高齢者による万引きの問題が深刻化しています。警察庁の報告によると、2013年の1月から11月までに65歳以上の高齢者が万引きで摘発された人数は25,821人に上り、これは前年の全体数である28,600人を上回るペースです。これらの数字は、若年層の摘発数を上回るものであり、特に目を引くのは、高齢者が盗む品目がパンや惣菜といった比較的安価な食料品であること、そして平均的な盗難額が2,600円であるという事実です。この背景には、万引きに対する罪の意識の薄さや、「安いものだから大丈夫」という考えがあると警察庁は分析しています。
しかし、認知症専門の立場から見れば、65歳以上の高齢者の約3分の2が認知症またはその早期段階にある現状を踏まえると、これらの行動は単なる罪の意識の希薄さからではなく、認知症による影響が大きいと言えます。例えば、食べたいものをその場で食べてしまう、周囲の反応に驚いて興奮状態になる、購入手続きの方法を忘れてしまう、商品の一部だけを持って行くといった行動は、認知症による判断力や記憶力の低下、感情のコントロールが困難になることが原因です。
これらの行為は前頭葉機能の低下によって引き起こされます。前頭葉は理性や論理的思考を司り、人間の尊厳を維持する上で重要な役割を果たしています。認知症が進行すると、この前頭葉の機能が低下し、結果として「お金を払ってから食べる」「購入前の商品を無闇に動かしてはいけない」といった基本的な社会的規範を理解することが難しくなります。
高齢者が万引きを繰り返すことは、家族にとっても衝撃的な出来事ですが、これが初めての行為ではないことが多いのも事実です。万引きが店舗経営に与える影響は重大で、特に利益率が低いスーパーマーケットなどでは、万引きによる損失が経営を圧迫し、最悪の場合は倒産に追い込まれることもあります。
対策としては、高齢者を一人で買い物に行かせないこと、必要に応じて抗認知症薬の使用を検討することが挙げられます。これにより、万引き行為を未然に防ぎ、高齢者自身だけでなく、家族や社会全体の負担を軽減することができます。
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